二輪教習奮闘記 〜42歳の挑戦〜  by.とーこ

 

 

第一段階  基本操作および基本走行 <第二部>

 

2011年8月12日(金) =捻挫と打撲=



昨日、教習中に転倒してから家に帰るまでのことをイマひとつよく覚えてない。

とりあえず自分で車を運転して家に帰ってきたし、普通にごはんを食べてお風呂に入って。
バイクの下敷きになった足は多少痛かったけど、湿布でも貼ってればすぐに治るもんだと思ってた。

ところが。

いったーーーーーーーーーーーーーぃ!!痛い。痛すぎて声も出ない。

今朝、ベットから起き上がってみると足を着いた瞬間にものすごい激痛が全身に走った。

左足の甲が全体的に腫れ上がっている。

会社に行く時間なのに、着替えるどころか立ち上がることさえ出来ない。変な汗までかいてくる。
あーやっぱり昨日の怪我はかなりのダメージだったんだ。。。

まさか骨とか折れてないよね。

実はわたしの教習所通いのことは、周りのごく一部の人にしか話していない。
この先ちゃんと卒業出来るかもわからないし、なにより気恥かしいのもあって誰にも内緒で通っているのだ。

あぁ・・・会社に休むって電話しないと。まさかバイクの下敷きになりました。。なんて言えない。
家で転んで足をくじいたことにしよう。。ちょっと無理がある理由だけど。

とにかく病院に行かなければ!
でも立つのがやっとで、なかなか足に体重を乗っけて歩けない。

年老いた母親の肩を借りてなんとか外に出る。母親の方が骨が折れそうだし。。。

外に出ると、近所のおばちゃんに出会い、甲高い声がした。

「まぁ〜〜どうしたの?怪我したの?あらまぁ」
小さい頃から知ってるおばちゃんなので何かと親切にしてくれる。

「家に松葉杖あるのよ。持って行きなさい。」と貸してくれたのだけど、身長が合わず、かなり低い杖になる。

そうか。。。普通に家に松葉杖ってあるんだ。。というか、さすがの高齢化社会だと思う。

とくにうちの近所は過疎化しているようで、高齢者の人が多い。助け合いって大切なんだな。

低くても松葉杖。おかげでなんとか病院に辿りついた。
ここまで来るのにも大量の汗をかいているし、病院の中でもかなり目立っているっぽい。

看護士さんが近づいてきて、受付で貰ったカルテを渡すと車椅子を運んできてくれた。

おぉ!人生初の車椅子だ!
動かし方もよくわからない。簡単そうに見えて、これ実は難しい。

診察して、レントゲン取って、病院の中を車椅子であちらこちら移動する。
普段は気づかないけど、バリアフリーのありがたさを感じる。こういうの大切なんだな。

診察の結果、強度の打撲と捻挫をしているらしい。
よかった。骨には異常がない。
新しく背丈に合った松葉杖を借り、痛み止めやら湿布やらを処方してもらう。

はぁ。。気分的に一旦落ち着いたものの、明日からこの足でどうやって過ごそうか。

 

2011年8月15日(月) =お盆=

 

あーそうだったそうだった。

足の騒動ですっかり忘れていたけど、夏季休暇で13日から会社も休みだったんだ。
ちょうどよかったと言えばちょうどいいが、せっかくの休暇が台無しじゃないか。。。

仁にも「花火大会も我慢したのに、何やってんねん。」と怒られた。そうだった。先々週、花火行けなかったよね。
本当なら夏が終わる頃には免許も取れてて、早ければ秋にツーリング行けるかもしれないって話してたのにね。

のちにツーリング仲間で、いつも一緒に走ることとなるジャン君にも、実はこの時、わたしが教習所に通ってることは内緒。

仁と2人でサプライズを企んでいて、わたしが無事に免許が取れた暁には、一番最初にジャン君の家に行って、
さっそうとバイクを運転して登場しようじゃないかと。。ぷちドッキリ。

まさかこの鈍臭いわたしが、バイクに乗って現れるなんてきっと夢にも思わないだろう。。。なんて。

計画が遠のいていく。

あぁ、足が痛む。

大袈裟なんだろうけど、ホントに痛いんだってばぁーーー。

 

 

2011年8月17日(水) =日常生活=

 

夏季休暇もあっという間に終わり、今日からまた日常が始まった。

左足を引きずりながら歩いているわたしを見て、会社の人たちがいちいち驚くのだけど、
怪我した経緯はなんとも説明しずらい。。。いやぁバイクの下敷きに。。とは言えず、
家でつまづいてコケたことになっている。 家でコケたにしては、足の色が黒すぎる。

怪我をしてから5日目、足の裏に血が溜まっているのか、それとも うっ血しているのか
とても人の肌とは思えないグロテスクな色になってきた。
腫れも引くどころか一日中デスクワークで座っていると、夕方には風船のように浮腫んでくる。

病院に行っても湿布を処方してくれるくらいで、あとは日にち薬なんだろうね。

いっそのこと、骨でも折れていればギブスはめて、もう少し歩行が楽だったかもしれない。


捻挫と打撲ってかえって厄介。

 

2011年9月3日(土)=たこ焼きパーティ=



今日は久々にジャン君も誘って、家で”たこ焼きパーティー”をすることになった。

このところ私の足が不自由なせいであまり出掛けられない。

ちなみに仁の焼くたこ焼きはなかなかの美味。
何度かチャレンジした結果、独自に作り上げた秘伝のたこ焼きらしい。

ん〜今日もうまい〜。

ジャン君にもわたしの足の怪我は家でコケたことになっている。
あまりそのことに触れる様子は無かったから良かったけど、サプライズ計画はまだバレるわけにいかない。


でも。。。教習所にまた通うのかなぁ。。わたし。

そろそろ怪我した日から一ヶ月が経とうとしている。
まだ足は引きずって歩いている。治るのかな。治ったらバイクまた乗るの?




2011年9月5日(月) =雑誌の懸賞




免許を取ることをまだ諦めたわけじゃないけど、あまりバイクの話はしなくなった。

教習所を休めば休むほど、次また行きにくくなるしタイミングも逃してしまう。

だからといって、もうお金は全額払い込んであるし、せっかく始めたことなんだから卒業したい。

今はただ、足が完治しないのをいいことに現実の問題から逃げている。そんな感じ。


今日、郵便受けを覗くと見覚えの無いところからメール便が届いていた。

以前、バイク雑誌でなにげに応募していた懸賞品がどうやら当たったらしい。
封をあけてみると、薄手のレディース用バイクグローブが入っていた。

同じような悩みを持つ新米ライダーの話や、可愛いバイクギアなどが掲載された
『L Bike (レディースバイク)』という
女性向けのバイク雑誌で、
ちょうど教習所に入学した頃に本屋で見つけ、これからのバイク生活の参考にしてたのだ。


まさか当たるとは思わなかった。
だいたいこの手の懸賞なんて今まで当たったことがないし、応募してたことさえすっかり忘れてた。。

届いたグローブをはめてみると、これがまたわたしの手にピッタリと合って、しっくりくる。


すごーい!嬉しい。


でも、わたし このグローブはめてバイク乗るときが来るのかな。

これってもう一度、がんばって教習所に通えってことなのかな。


 

2011年9月24日(土) =筏釣り=



仁とジャン君は釣りが好きで、よく釣りに出掛けている。

たぶんジャンルにはあまりこだわらないのだろうけど、中でも 3年前、仁の勧めで
伊勢の古和浦にある渡船屋さんに行ってからは、チヌ(黒鯛)の”ダンゴ釣り”にハマっている。

尾鷲湾の中に浮かぶ筏の上で、夜が明ける頃から日が暮れるまで一日中、釣りをする。
時期としては秋が一番よく釣れるらしい。

足の怪我のせいで今年は来れないと思ったけど、腫れも引いてきたし痛みも和らいだから、
今日は3人で1年ぶりの”ダンゴ釣り”にチャレンジ。

”ダンゴ釣り”はかなり難しい。きっと上級者向けの釣りなんだと思う。

チヌという魚は警戒心が強く繊細で、餌になかなか喰いつかない。小さく突くのだけど、
その微妙なアタリを見分けて、瞬時に竿を上げないと逃がしてしまう。

やっぱりわたしは今年も釣れなかった。。。センス無いなぁ。

それでも浮世離れしたこの筏の上にいると、それだけで気持ちがリフレッシュされた。

そろそろ教習所。。。行こうかな。


 

2011年10月18日(火) =奮起=




ようやく決心がついて教習所の前まで来た。

会社からたったの3分。 こんなにも近いのにこの2ヶ月間は遥か遠い道だった。

大きく深呼吸して、勢いよく扉を開けた。

受付のお姉さんと目が合った。

「あらぁ〜久しぶりですね。どうですか?もうよくなりました?」

2ヶ月前は事務的な事以外はあまり会話を交わしたこともなく、どちらかというと愛想が悪いなーと
思ってたお姉さんが、笑って迎えてくれた。

あ、覚えててくれたんだ。(そりゃそうだろう。。教習所で全治2ヶ月の怪我する人なんてそう滅多にいないだろうに。)

なんとなく教習所で迎えてくれた人達が優しく思えた。

よし頑張ろう。次の予約いつ取れますか?

 


2011年10月25日(火) =再開=




怪我をして教習所を後にしてから、75日。

今日から教習を再開することになったのだけど、あぁ緊張する〜。

どんな顔して先生に会えばいいんだろう。やっぱりここはきちんと挨拶しないといけないよね。
最初に入校したときよりもドキドキする。

この教習所には指名制度がなく、予約した時間に配車の横で待っていると、それぞれ交代で先生が付いてくれる。
事前にシフト表とか見れば、だいたいは今日どの先生かわかるんだろうけど、わざわざ確認まではしない。  

怪我した日に受けもってもらった先生だといいなーと少し思った。
こうしてもう一度、無事に再開出来た報告がしたかったのと、迷惑をかけたことを謝りたかった。 

だけど、やってきたのは大きな声の熱血先生だった。
あ、たしか説明がとてもわかりやすかった先生だ。久々の教習だから、ある意味ラッキーだったかも。

「はい、えーと、では原簿を見せてください。」が、いつもの教習の始まり。

あとで聞いた話だけど、毎時間、生徒さんと接していても顔や名前はあまり覚えてないそうだ。

特にこの教習所は合宿がメインだし、何人もの生徒さんが短期間で入れ替わり、卒業していくからかもしれないけど、
この熱血先生も例外でなく、わたしの顔を見ても一瞬覚えている風ではなかった。

あーなんだ。。遠慮がちに緊張もしたけど、また普通に通えばいい感じなのね。。

ただ、原簿を見れば一目瞭然で、怪我したことも補習がついてることもすぐバレる。。
さすがに、どんくさいおばちゃんが、以前ビクビクしながら走ってたことを思い出したようだ。。。

「久しぶりですね。もう大丈夫ですか?まぁウォーミングアップで、様子見ながら行きましょう。」

相変わらず、ひとつひとつ丁寧に教えてくれる。
どうして出来ないのかをうまく説明してもらえるから、頭ではよく理解出来る。

およそ2ヶ月半ぶりにバイクに跨ったにしては、前よりかスムーズに乗れている気がする。
派手な転倒をして怪我したことによって、逆に開き直ったのかもしれない。

なによりバイクに乗ってることが楽しかった。
オイルの匂いやエンジンの音が全部身にしみてきた。

体調や足の具合も考えて、しばらく1時間ずつ通うことにしたから、あっという間に過ぎた。


2011年10月26日(水) =みきわめ=


朝から車で聴く音楽を、嵐の「 Happiness 」に変えてみた。

♪ 向かい風の中で 嘆いてるよりも〜 うまくいく事を想像すれば いつの日か変わる時がくる〜

♪ 走り出せ 走り出せ 明日を迎えに行こう〜

歌詞がいい!たまたま聴いたフレーズが頭に残ったのだ。

そうそう、うまくいく事を想像すれば、きっとバイクも前に走るのよ〜。
まさに今のわたしにぴったりだ。

そのおかげで、テンションが上がってくる。

だからといって、そんな劇的に上手く走れるわけでもないんだけどね。。。



2011年10月27日(木) =引き続き みきわめ=

平日の会社帰りに1時間、とりあえず教習所に通ってます。

8月に入校してから、なんだかんだと補習がつきながらも課題をこなし、
もうすぐみきわめで一段階の終了のところまできていた筈だった。

まぁ最初の頃に比べたら、まだ乗れているとは思うけど、
結局、再開したものの課題はまったくの一から繰り返してるようなもんだ。


いくら安心パックとはいえ、申し訳ない。。。


2011年11月1日(火) =やっぱり みきわめ=




近頃はオフシーズンで、一週間分の予約が前もって取れるのだけど、
その予定表のタイトルがずっーと”みきわめ”になっている。 でも内容は一からやり直し。

今は体力的なことを考慮して、一日一時間毎に予約しているのだけど、さすがに一時間だと
これまた教習もなかなか進まない。

ただ、足を守るために足先が固い”安全靴”をホームセンターで買ってきて、
バイクに乗るときはその靴に履き替えているおかげで 妙に安心して、
そんな些細なことだけどメンタル面ではグイグイとどんな課題もチャレンジしている。

免許が取れてバイクを買ったら、まず一番にバイク用のブーツを買おう!

ひそかに誓う秋の夕暮れ。

 

2011年11月7日(月) =まだまだ みきわめ=




もう秋なんだなーと改めて思う。

あんなに汗を大量に流しながら受けてた教習も、すこし肌寒く感じるようになってきた。

未だ一段階も終了してないけど、はたして有効期限内に卒業出来るスキルを身につけられるんだろうか?
てか、免許取れるの?まぁそのための教習所なんだから、走れるようになってるんだろう。

雑誌やネットで、なんとなく欲しいバイク候補があがってきた。
教習所で乗っているCB400SFはものすごく魅力的なネイキッドバイクだけど、
以前、YAMAHAセローで練習したときの軽さは忘れられないから、やっぱり250ccクラスのバイクがいい。


まだまだ時間はたっぷりある。じっくりバイクを選んでいこう。

 


2011年11月8日(火)
 =もうちょっと みきわめ=



再開してから、いろんな先生に面倒見てもらってるけど、怪我した日の先生には一度も会うことがない。

二輪の教習中は先生もヘルメットをいつも被っているし、あの日はショックで相当動転してたから、
残念ながらはっきり顔を覚えてない。優しそうなごく普通な感じの平凡先生だった。

わたしのせいで、減点みたいな制度とかないよね。
しばらく二輪の教習はしちゃいけないとか。。。迷惑かけてないかな。

今日も熱血先生だ。
無我夢中で今までやってきたけど、そろそろはっきり苦手なところがわかってきた気がする。

「左折とか苦手みたいですね。今日は徹底的に周ってみましょう。」

左折すると大きく膨らんでしまう。
減速してカーブに入り、目線は行き先の方向に。曲がりきったと同時にアクセル開けて
バイクを安定させて進む。

頭では理解出来るけど、低速でのアクセルワークは本当に難しい。
思い切っていまさらだけど、アクセルの調整が出来ないです。と言ってみたら、

「バイクを停めて、改めてハンドルを握ってみて。小指の方を意識してみて。」と言われ、
力の加減とエンジン音を確認する。
今までカクカクしていたエンジン音がスムーズに鳴っている。

小指。。。ほう。

なるほど。いい感じだぁ。

「うーん。がんばってるし、ようやく掴んできたみたいだけど、ちょーーーっと心もとないんだな。」


どこか惜しい。。。みきわめ続行決定。




2011年11月9日(水) =どう? みきわめ=


淡々先生。
淡々とあまり目を見ずに話すから、冷たい雰囲気がするのだけど、意外と熱心だったりする。
わたしが、変な走りをしたり、行動がぎくしゃくすると、二度見するのが面白い。

クランクはいまだにコツが掴めないし、怪我をした出口付近にトラウマがあって
すぐにアクセルを戻してしまうクセがでてしまう。

3回に1回くらいはかろうじて通り抜けられることもあるけど、ほとんど腕がプルプルの
超低速をバイクを倒さないように無理やりふんばっているだけ。

ブォーン!ガシャン!

ひさしぶりに転倒。 左折からのクランク入り口。。。だから苦手なんだってば。

「うーん。がんばってるし、ようやく掴んできたみたいだけど、ちょーーーっと足りない気するなぁ。」

うわ

昨日の熱血先生と同じこと言ってるよ〜。

他の生徒を受け持っていた熱血先生が、近くに寄ってきて「そうでしょ。昨日僕も同じように思った。」
と、2人で軽く目で確認し合う。。。

あぁ。。。今日も続行決定かなぁ。。。

「まぁ、もう大丈夫でしょう。みきわめ合格にしておきます。よく頑張ってきましたもんね。」

え?

え?

いいんですか?

やったーーーあー!!!


いや、これで終わりじゃないですよ。これから二段階、がんばってくださいよ。これからですよ!」

無邪気に喜んだら、しっかり釘をさされる。。。さすが淡々先生です。




とにもかくにも

ようやく一段階が終わった。よーし!本格的にバイク選び行っくぞーーーーーーv


あぁ、まだでも一段階か。


 

第一段階 基本操作および基本走行 第一部  へ戻る

第二段階 応用走行   へ続く


TOPへ戻る